一回家出をしてみたことで
家出っていうのがぼんやりしていたのが


現実味を帯びた。


まず、もっといらないものを削ぎ落とす必要がある。


手始めに贅肉。

当時の私は運動をあまりしなかったし、
読書ばかりしているインドア派だったため
保健室に呼ばれるくらい太っていた。


そこで、家出のタイミングを次の年の夏、と決めて
ダイエットにとりかかった。

昼食の調整やジョギングを取り入れたりして
半年で10Kgの減量に成功。

親のことはもう諦めていたし、
受験をして大学→会社→歯車→死
の未来から逃れるため受験勉強はしていなかったので

塾で自習していると偽ってジョギングにでかけたり。

そのときまだ、浮世を完全に捨てられなかった部分が
それまで集めた音楽のデータ等。

一切をHDDにまとめて友人に託した。
まぁ預かってもらっている時点で覚悟が足りていない感が出ていると思うが、
当時の自分にとっては最大限のことだった。

というか、一回目の家での時はこれも持って行こうとしていたから愚か極まりない。



最後に人間関係だ。

一部の友人以外とは会話する回数を徐々に減らしていった。

人間関係の整理。
友人と知人の境界の明確化をしていった。

その結果大半の同輩の顔がボクの記憶から消えた苦笑


高校の同輩の集まりに行く機会がその後あったが、
ほとんど覚えている人がいないのでわりと対処に困った笑

そうやって当時持っていたものを出来る限りそぎ落とした。


最終的に家を出る時に持って行ったものは
鞄に着替えが幾つか。非常用の缶詰。
日本地図と財布に少々のお金。

あと、ダイエットの時に使っていたおもりを手足に巻いて笑
(たしか全部で10Kgぐらいだった気が)


で、徒歩で家を出た。


一回目の家で

生徒会(というか学校行事の運営)を始めたボクは
他の人とは多少違うことをやっている状況を楽しみつつ、

やはり何か違う感を感じながら
それでも怠惰に過ごしていた。


この時、何か行事に参加するより運営する側に回ったほうが楽しいということに気づいた。

そのまま、時間は過ぎていく。

学生の日々なんて、適当に授業をこなして、
適当に部活などに参加していたらあっという間だ。


そうやってかけがえのない日々はいつの間にか手の届かないところに行ってしまう。


やがて、周りの見ているビジョンと自分の見ている世界のズレが顕在化してくる。

徐々に大学受験を意識しだす同輩たち。

しかし、そのレールに乗ってしまったら死だ。


私にはそういう未来しか見えなかった。


誰にって言っても伝わらない。

親ともうまくいっていない。



だから逃げ出すことにした、高2の夏。


夏休みの途中でその時考えられるだけの準備をして、
(正直かなり突発的にやったのでたいした準備もできていないのだが)

リュックに服や食料を詰めて。

通学に使ってた自転車に乗って、逃げ出した。


特に行き先が会ったわけじゃなかったから、
まずは学校を目指して。


まぁ結局友人にあったりしているうちに2-3日で連れ戻されたんだが。




それから、ボクはもう一度次の夏に向けてしっかり家をでる準備をすることにした。
一度やってみると問題点や甘さが見えてくるものだ。

1年かけて 所持品の整理。
バイトができたわけじゃないから大した金額じゃないがお金もためて。

体が重要になるのはわかっていたから
それまで肥満気味だったのも10Kg以上落とした。

いらない人間関係もそぎ落として。


そうやって二度目の家出に向かう。





準備。高2の夏。

あの頃何を考えていたのか。

 

うすらぼんやりと感じていた世界のレール。

そこから抜け出したかったんだ。

 

漠然と感じる世界への違和感。

 

だからボクは家出した。

 

・・

割と変な奴って思われることが多かったと思っている。

自分自身、そう思われていることを自覚していたし、

感覚がずれてしまっていることも自覚していたから、

より一層おかしなふうに振舞っていた。

 

中学校受験をして、そこそこいい学校に入った。

でも、燃え尽きたのか勉強をそれ以上続けていく気になれなかった。

 

親の言葉にしたがって受験をした。

最初はよくわかっていなかったが

中学校受験をすれば良い道に進めるというふうに言われたのかもしれないし、

私が一番覚えているのは中学校で受験をしておけば高校で受験をしなくて良いってことだった。

 

中高一貫校に入ったから、それは確かに事実だったんだけど

そこそこ頭のいい学校だったから、

ちゃんと勉強はしなきゃいけなかった。

 

思っていた理想と違った。

そして、親が思っていた理想ともずれてしまった。

 

そのせいで親とうまく行かなくなり、

中学生の収入源であるお小遣いが絶たれた。

 

周りは受験をするぐらいだから

そこそこ金を持っている奴らばっか。

 

周りは金を使える。

自分は使えない。

 

周りはラーメンを食べに行く。

自分は冷めたお弁当。

 

周りは学校帰りに遊んで変える。

私は家に直帰。

 

 

そんななかでも出来ることを探して

頑張っていたと思う。

 

娯楽は図書館で調達した。

学校帰りに親に咎められない程度に図書館に通う。

 

いろんな物語、小説を借りて読み漁る。

文庫だと一日で三冊ぐらい読んでいた。

 

当然成績は上がらない。

確執は広がっていく。

 

 

徐々に見えてくるずれ。

世界の構造。

 

大人の歯車感。

 

中3になった頃には「勉強すると頭が悪くなる」ということを言っていた記憶がある。

言いたかったことは、

先に見える大学→会社のルートは社会の労働力を生産するためのルートだっていうのが見えたから、

このままそのレールにのっていると、理想とは程遠い人生になってしまうってことだったんだけど、成績の悪いやつがそんなことを言っても誰も耳をかさない。

 

世界に都合の良いようになるのは嫌だったから、

生徒会に入った。